糖尿病網膜症の発見・評価に簡便なアプローチに関する論文がGraefes Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology誌に掲載されました

―非侵襲的な爪床毛細血管測定が有効であることを発見―

東北大学大学院医学系研究科眼科学分野の中澤 徹(なかざわ とおる)教授、國方 彦志(くにかた ひろし)特命教授、岡部 達(おかべ たつ)医師らのグループは、あっと株式会社(本社:大阪市中央区、代表取締役:武野 團)が開発した毛細血管スコープによるシンプルかつ非侵襲的な方法を用いて、NCの非侵襲的な測定がDRの発見や重症度評価に有効であることを明らかにしました。(URL:https://doi.org/10.1007/s00417-023-06220-z )

 

【東北大学研究者情報】

〇大学院医学系研究科眼科学分野 教授 中澤徹 研究室ウェブサイト

http://www.oph.med.tohoku.ac.jp/

 

【発表のポイント】

糖尿病網膜症(DR)(注1)は、わが国の失明原因第3位で、これが原因で年間数千人が失明しています 爪床毛細血管(NC)(注2)の測定データが、DRの存在および重症度に関与することを明らかにしました。 将来的には糖尿病患者の視覚損失の予防に貢献することが期待されます。 【概要】 DRは、失明原因の第3位で年間数千人が失明しており、糖尿病患者にとって深刻な視機能障害をきたす合併症となる可能性があります。しかしDRは複雑な分子メカニズムにより引き起こされており、特異的なバイオマーカーがないため、DRの早期発見は一般的には難しいのが現状です。 東北大学大学院医学系研究科眼科学分野の中澤 徹(なかざわ とおる)教授、國方 彦志(くにかた ひろし)特命教授、岡部 達(おかべ たつ)医師らのグループは、あっと株式会社(代表取締役 武野 團 [たけの だん] )が開発した毛細血管スコープによるシンプルかつ非侵襲的な方法を用いて、NCの非侵襲的な測定がDRの発見や重症度評価に有効であることを明らかにしました。 今回の研究により、DRのリスクとその重症度を評価・予測する新しい道が開かれ、将来的には糖尿病患者の視覚損失の予防に貢献することが期待されます。 本研究成果は、2023年10月24日Graefes Archive for Clinical and Experimental Ophthalmology誌に掲載されました。

図1. 爪床毛細血管スコープ写真 非糖尿病患者(左図)と糖尿病患者(右図)の爪床毛細血管スコープ写真を解析すると、糖尿病患者は非糖尿病患者に比べ、爪床毛細血管の本数減少、短縮化、狭小化、混濁化を認めた。

 

【用語解説】

注1. DR: Diabetic Retinopathy 糖尿病網膜症

注2. NC: Nailfold Capillaries 爪床毛細血管

 

【詳細プレスリリース本文】